第60章 疑念

宮本正言は「うん」とだけ答えると、二階へ上がっていった。

宮本亜蘭が池田暁月の隣へ寄り、声を潜める。

「なんで兄貴って呼ばないんだ?」

暁月はちらりと彼を見て、淡々と返す。

「向こうも私のこと、妹って呼んでないし」

宮本亜蘭は言葉に詰まった。

「……それもそうか」

夕食どき。

家族はダイニングテーブルを囲んだ。

宮本明珠は宮本正言の右隣に座り、息をするみたいに自然な手つきで彼の皿へ次々と料理を取り分ける。

向かい側の池田暁月は、自分の茶碗の飯を静かに口へ運ぶ。自分から話題を振りもしないが、わざと視線を避けるわけでもない。

「暁月、来週ゴールドフェザー賞の準決勝よね」

...

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