第105章 あなたは彼女を守りたいだけ

野村恵子は遠くにいる高橋美桜を憎々しげに睨みつけると、くるりと背を向けて立ち去った。

地に倒れていた怪我人のボディーガードも、それに続いて逃げ出した。

辺りは、次第に静けさを取り戻していく。

左京翔は高橋美桜を睨みつけ、言った。「てめえんちの面倒事を桜井明穂に持ち込むんじゃねえ」

桜井明穂が駆け寄ってきて左京翔の袖を掴み、言う。「これは美桜ちゃんとは関係ないわ」

「それからお前もだ。勝てねえくせに突っ込んでいきやがって。命が惜しくないのか?」左京翔は矛先を桜井明穂に向け、怒鳴りつけた。

桜井明穂は慌てて俯き、何も言えずにいた。

「俺と上に行くぞ」左京翔は桜井明穂の手を掴むと、階上...

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