第111章 君のママは高橋美桜

篠宮奏音は高橋香織の醜態を見物しに来ただけあって、高橋香織がたかがアシスタントに公衆の面前で恥をかかされたと知り、それはもうご満悦だった。高橋美桜を褒めそやした後、藤崎蓮に追い払われた。

男の視線は冷たく、意味深に高橋美桜を一瞥したが、何も言わなかった。ただ高橋美桜にしっかり働くよう命じ、自身のオフィスへと戻っていった。

悠くんはまだ中に座っており、澄んだ大きな瞳をぱちぱちと瞬かせている。星辰のようにきらめく光は非常に眩しく、とても綺麗な瞳だ。

田中啓が戻ってきて、藤崎蓮のオフィスのドアをノックした。手には分厚いファイルを抱えている。「社長、調査が完了しました。こちらがご所望の資料です」...

ログインして続きを読む