第260章 彼が奪ったのは高橋美桜

「高橋美桜は? どう思う?」藤崎蓮が尋ねた。

田中啓はあれこれ考えた末に口を開く。

「とても自立した方、でしょうか」

「例えば?」男は眉を上げた。

田中啓は答える。「部屋はきれいに片付いていましたし、きっと几帳面な方なのでしょう。ご自身が病気であるにもかかわらず、悠くんの面倒は他人に頼らず自分で見ようと坚持なさっていました。とても強く、自立した方です」

強く自立しているだけでなく、非常に偉大でもある。

一人の母親として、そこまでできるのは本当に偉大なことだ。

だが、この言葉を田中啓は口に出せなかった。藤崎蓮が高橋美桜をどう思っているのか分からず、彼の逆鱗に触れるのを恐れたからだ。...

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