第10章 新たな生存者

東山美咲が俺が森へ入っていくのを見て、その豊満な唇を動かし、引き止めようとしたが、中村京子というあのクソ女に腕を掴まれていた。

「放っておきなさいよ。魚を二匹捕まえたくらいで、自分が何様だと思ってんのかしら。甲斐性のない男なんだから。もっと良い暮らしがしたいなら、田中威についていけばいいのよ」

東山美咲は溜め息をつき、複雑な表情で俺の背中を見つめていた。

俺が去ることについて、彼女の心境は非常に複雑だった。俺が彼女たちと一緒にいなければ、今日の屈辱的な出来事を知る者は誰もいなくなる。

俺を喜ばせるために、彼女が危うくその身を捧げかけたことなど、誰も知る由もない。

それは良い...

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