第56章 方法

「駄目、あなた一人じゃ。ライフルを持っていたとしても、狼の群れに遭遇したら危険すぎるわ。行かせない」

東山美咲が真っ先に反対の声を上げた。意外にも、最初に俺の身を案じてくれたのが彼女だなんて。この気性の荒い女も、ついに俺がその心の裡を占めることに成功したらしい。

彼女は、本気で俺を心配し始めたのだ。

「駄目なことなんてない。お前たちのために、俺は行かなきゃならないんだ。分かってるだろ、寒波は冬の到来を告げる前触れに過ぎない。遠からず、本当の厳冬が訪れる。防寒の問題を解決できなければ、いつかお前たちは凍傷で病気になったり、最悪死んだりする」

「俺がお前たちを強引に独占した以上、お前たちの命の...

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