第57章 狩猟

この野鹿を追わなくても、他の獲物に出会えるとは限らない。別にこの鹿一頭に固執しているわけではない。ただ、最初に出会った獲物として、俺に幸運をもたらしてくれることを願っているだけだ。

森の中で一頭の野鹿を追跡するのは、決して楽しいことではない。プレッシャーは凄まじく、常に最大限の警戒を保たなければならない。前進する過程で、いつ一頭、あるいは一群の野獣に遭遇するとも知れないからだ。

以前出会った狼の群れのように。奴らと出くわすのは正直怖い。もし本当に狼の群れに遭遇し、不運にも囲まれでもしたら、今日が、俺がこの世に別れを告げる最初の日になるだろう。

時間だけが刻一刻と過ぎていく。たった...

ログインして続きを読む