第59章 洞窟に戻る

野鹿の死骸が地面と擦れ、ザザッと音を立てる。それに加え、子豹の足裏の特殊な構造のせいで、俺はずっと後をつけられていることに気づけなかった。

なぜ後をつけてくる間、一度も鳴き声を上げなかったのかと疑問に思ったが、肩に担いだ母豹の死骸のことを思い出し、少し合点がいった。おそらく、母親の死をまだ認識しておらず、無意識に母親の匂いを追って走っているのだろう。

同時に、俺は今の自分の歩く速度が、本当にひどくゆっくりなのだと痛感した。まさか子豹一匹にやすやすと追いつかれてしまうとは。

その存在に構っている暇はなかった。俺は、自分にとって非常に重要だと思われる決断を下した。野豹の死骸を地面に置き...

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