第6章 関係の進展

「いや……」

東山美咲は無意識に拒もうとしたが、すぐに口を噤み、黙って俺を見つめてきた。俺の眼差しが非常に固く、たとえあんなことをさせようとしている時でさえ、表情が極めて冷静であることに気づいたからだ。

彼女は、これが単なる焼き魚一枚の問題ではないと、うすうす感じ始めていた。俺が彼女を試しているのだと。俺に対する彼女の態度を、試しているのだと。

もし拒めば、今朝の焼き魚を失うだけでなく、その後の食料も、俺は彼女に分け与えないかもしれない。

「どうしても、そうしなければならないの?」

「君にとっては、そう難しいことではないだろう」俺は平然と口を開いた。

「そうね、食料を手に入れるより難しい...

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