第64章 皮毛の鞣し方

「ああ、何か方法があるのか?」俺は彼女に笑いかけ、少しでも場の空気を和らげようと試みた。東山美咲にそんな方法があるはずがないと、当然のように思い込んでいた。なにしろ彼女はお姫様のような女だ。書類を作成させたり、イベントを企画させたりするならまだしも、皮なめしなんて彼女の人生とはまったく無縁のはずだ。

だが、思いもよらないことに、東山美咲は本当に方法を知っていた。彼女は俺を白目で一瞥すると、得意げな表情を浮かべた。

「もちろんあるわ。うちの会社は化粧品しか作ってないけど、一時期、上層部がブランドバッグ事業への進出を考えたことがあったの。知ってるでしょ、ブランドバッグには動物の毛皮が使われる...

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