第39章 架

「この世には二つのものを直視してはならない。一つは太陽、もう一つは人の心だ」——東野圭吾

東津城は、平江市が今年になってようやく再開発を認可したスラム街である。

朝、空が白み始めた頃、軽食街で朝食を専門に売る店の灯りはすでに点いており、ちらほらと客が朝食を買い求めていた。

佐川言権はあらかじめ肉まんを三つ、それから無糖の豆乳を一杯用意し、店の外のテーブルに置いた。ついでに通りの曲がり角に目をやる。

隣の店の主人が彼を見て言った。「佐川さんよぉ、あの子から金をもらったことあんのか? なんで毎朝々々、朝飯を用意してやってんだ? あんたもお人好しが過ぎるってもんだ」

「あの子は家に誰もいな...

ログインして続きを読む