第49章 試探

加藤紹輝は人を見る目がある。特に尋問の際には、相手が容疑者であろうとなかろうと、事件に関係する人物であれば、瞬き一つ見逃さずに記憶することができる。

彼が男の目に憎しみがあったと言うのなら、それは間違いなく事実なのだろう。

長谷川寂は目を半ば閉じながら聞いていたが、加藤紹輝が話し終えるのを待って口を開いた。

「もう一人いる。池田暁だ」

「彼女が?」佐久本令朝はためらいがちに長谷川寂を一瞥した。「彼女には犯行動機がないように思えますが」

佐久本令朝は長谷川寂と共に池田暁の聴取に当たっていた。

長谷川寂が顔を上げる。「犯行動機はない。ただ、嘘をついただけだ」

佐久本令朝は思案する。「葉山...

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