第71章 救い

阿部書竹は顔を上げ、ふっと笑った。「妹弟子。髪、ほどきなさい。それと、その髪飾りは捨てて。それが録音機だってこと、気づいてないと思う?」

佐久本令朝は別のヘアゴムに付け替えていた。

こんな些細な違いにも、彼女は気づいていたのだ。

佐久本令朝も彼女の前では小細工を弄さない。無駄だからだ。

佐久本令朝は再び手を上げ、自分の手首にある四つ葉のクローバーのブレスレットを見せた。「外しますか?」

「できれば、それに越したことはないわ」

長谷川寂はガラス越しに冷ややかに見つめ、手招きした。菅原凱捷が入ってきて、それらの物をすべて持っていった。

長谷川寂は阿部書竹を冷たく見据える。「阿部さん、...

ログインして続きを読む