第8章

 美沙希は狂った。

 幾度もの暗殺失敗に加え、土屋家も父の手によって息の根を止められかけている。大勢が決したと悟った彼女は、最後の賭けに出た。

 彼女は土屋家と結託し、父の側近を寝返らせた。そして父が検診で病院へ向かう隙を突き、拉致を実行したのだ。

 場所は西地区の廃倉庫。そこは、前世で私が最期を迎えた場所でもあった。

「寧音! 一人で来なさい。株の譲渡書類を持ってね」

 電話越しに美沙希が金切り声を上げる。

「さもないと、あんたの父親を吹き飛ばしてやるわ!」

 私は単身、車を走らせた。トランクには赤山が潜んでいる。これが私たちの手はずだ。

 薄暗い倉庫の中、父は椅子に縛り付...

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