第5章

その日の午後は、署名マラソンと化した。会議テーブルは、落ち葉のように積まれた書類の山で埋め尽くされていた。

和也は、見込まれる利益に興奮するあまり、『リスク評価』や『全損失条項』といった細部を気にかけることもなく、投資契約書の最初のページを読んだだけで署名した。

大輔は、新しい『社長』という肩書を捕まえた相手かまわず自慢しながら、法人設立書類、環境コンプライアンス書式、連邦登録書類にサインした。

真由美は、新しいクレジットカードを手に自撮りするのに夢中で、金利など気にも留めず、ショッピング契約書、社交クラブの会員申込書、そして財務承認書に署名した。

翔太は、新しい機材がいつ...

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