第9章

翌朝、私が目を覚ますと、祖母がニュースを見ていた。テレビは川村家の話で持ちきりだった。

『資産家令嬢による復讐計画か』

『富豪女性、貧困家庭を崩壊させる』

『家族探しが招いた悲劇』

和也、真由美、そして翔太はインタビューに応じ、自分たちが被害者であるかのように語っていた。大輔は弁護士を通じて声明を発表していた。

「まるで怪物みたいに仕立て上げられてるよ」と私は言った。

「ええ、分かっているわ」

「気にならないの?」

祖母はテレビを消し、私の方を向いた。

「空、私が何を気にしているか分かる?」

「何が?」

「五十五年間、誰かが私の話に関心を持つまでに、これだけの時間...

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