第7章

夜の闇に東京都現代美術館のモダンギャラリーが煌々と輝いていた。床から天井まである巨大な窓ガラスには、東京の夜景のネオンが映り込み、磨き上げられたコンクリートの床に反射していた。

今夜はアート界で最も重要な夜の一つ、「東京ビエンナーレ」のプレビュー・カクテルパーティーだ。

私はエントランスに立っていた。

私の黒いドレスは古着屋で買ったものだが、この照明の下ではそれなりに見える。イヤホンから真弥の囁き声が聞こえる。「瑠奈、配置についた。AVシステムは掌握済み。赤城は見える?」

部屋を見渡し、すぐに紗江子のトレードマークであるブロンドヘアを見つけた。彼女は何十万円もするシャンパン...

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