第14章 いい加減にしろ

希美が何度となく「離婚」と口にするたび、夏川翔太は自分の忍耐が少しずつ底をついていくのを感じていた。

翔太は希美の手首を掴むなり、脇の空き部屋へ乱暴に引きずり込み、扉に背を押しつける。

「希美。分かってるよな。俺は脅されるのがいちばん嫌いだ。それに、こんなところで“おままごと”に付き合ってる暇もない。最後のチャンスをやる。今の言葉、取り消せ。聞かなかったことにしてやる」

希美は動じない。冷えた目で見上げ、淡々と言い返す。

「施しはいらない。……離婚、する」

「……っ」

鈍い音が「どん」と響いた。翔太の拳が、扉の板を叩きつけたのだ。目の奥に、陰湿な苛立ちが渦を巻く。

「沙梨が戻っ...

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