第17章 希美、どうしてここに?

谷口拓は希美の言葉を遮り、ゆっくりと言った。

「俺が出張に出るまで、まだ少し時間がある。焦らなくていい。よく考えてほしい。――これ、名刺だ。決めたら、いつでも連絡してくれ」

穏やかな口調なのに、有無を言わせない硬さが混じっている。希美は喉の奥がつかえ、断りの言葉がどうしても出てこなかった。

100万。

100万だ。

心が――ぐらりと揺れる。

その揺れを見抜いたのか、谷口拓はふっと微笑んだ。

「たしか市川さんは、夏川翔太のマネージャーだったよな。仕事が気になるなら、俺のほうから夏川さんに話を通して休みを取らせる。どうだ?」

希美は、こんな人物が自分を覚えていることに驚き、反射的...

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