第19章 一発殴られる

乾いた平手の音がぱちんと響き、周囲がふっと息を止めた。

希美の指先はわずかに震えている。けれど胸の内は、意外なほど静かだった。

自分の子どもが、平然と「浮気」だの「恥知らず」だのと母親を指さして言う。痛くないはずがない。

十月十日、身を削って産んだ子が、いまはその口で侮辱を吐き散らしている。

――これは自分の躾が間違っていたのか。

それとも、最初から根っこが腐っていたのか。

「お、お前……俺を殴ったのか!」

夏川日向は頬を押さえ、信じられないという顔で希美を睨みつけた。

次の瞬間、怒り狂った小獣みたいに突進してくる。拳を振り回し、わめき散らしながら、希美に容赦なく殴りかかった...

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