第28章 早く離婚しろ

悲鳴が上がった。

早川潤はびくりと身をすくめ、慌てて振り向く。そこには、床に倒れ込んだ伊藤沙梨がいた。手首を抱えたまま、苦痛に顔を歪め、身体を丸めている。

「沙梨、どうした!」

潤は駆け寄って起こそうとしたが、焦りのせいで彼女の手首に触れてしまった。

伊藤沙梨はびくん、と全身を震わせ、ぽろりと涙をこぼす。

――このバカ。

そのとき、病室のドアが押し開けられ、すらりとした影が入ってきた。

状況を見た瞬間、眉間がぐっと寄る。

「……どういうことだ?」

「こいつです! このクズが沙梨をこんなふうにしたんです!」

早川潤が真っ先に叫んだ。目の奥は怯えで揺れているのに、そこに混じる...

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