第34章 溜飲が下がる

「わっ――」

会場がどっとざわめいた。希美は高台の上に立ち、遥か先の夏川翔太と視線をぶつけ合う。

紅い唇が弧を描き、口の形だけでいくつかの言葉を刻んだ。

――夏川翔太。このプレゼント、気に入った?

夏川翔太の瞳に火が宿る。握り締めた拳がぎり、と嫌な音を立てた。

隣のアシスタントは冷や汗だらだらで、そっと彼の袖を引く。

「社長……いまは分が悪いです。いったん退きましょう」

伊藤沙梨も顔面を真っ青にしながら、怒りを必死に押し殺した目で、かろうじて哀れっぽい表情を作った。

「希美さん、どうして……どうしてこんな……。だって、だって……」

名を汚されるべきなのは、彼女のほうなのに。...

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