第9章 実家へ送り返す

鈍い音が落ちた瞬間、無視できないほど空気が震えた。

希美がはっと目を開けると、目の前に夏川翔太が立っていた。険しい顔で、向かいの男をにらみつけている。

「夏川翔太? どうしてここに……」

「希美。俺から離れて、こんな暮らしをしてたのかよ。情けないな」

疑問を口にするより早く、突き刺さる嘲りが飛んできた。

希美は言葉に詰まり、顔色がさっと陰る。

翔太は返事を待つ気もないらしく、数歩で彼女に覆いかぶさろうとしていた大男の前へ出た。

「さっさと消えろ。じゃないと――容赦しない」

さっき不意打ちを食らって転がされたのが相当癪だったのだろう。大男の目に侮蔑と怒りが点る。唾を飛ばすように...

ログインして続きを読む