第13章

上村先生のお宅の居間で、私は温かいお茶の入った湯呑みを手にしていた。その熱が手のひらから伝わってくる。上村先生の奥様が食卓を片付けた後、髪を拭くためのタオルを渡してくれた。

「昭子、卒業するまでここにいていいんだよ」

上村先生の声は、いつもよりずっと穏やかだった。

「妻ともう話し合って決めたんだ」

私は頭を下げて感謝を述べると、胸の内に温かいものがこみ上げてきた。

二日後、上村家の玄関に、スポーツバッグを提げた神代史人が現れた。

「神代史人」

上村先生は厳しい顔つきで言った。

「今日からここで、高校の勉強をやり直してもらう」

「は?」

史人は呆気にとられた顔を...

ログインして続きを読む