第百十九章 彼らを行かせよう

「……私がいつ、あなたを追いかけたの? そんな覚え、ないんだけど」

浅倉彩実が認めているのは、以前、学校で偶然何度か顔を合わせたことがあるのと、学校のプロジェクトで一、二度、青木陸斗と組んだことがある――それだけだ。

追いかける?

青木陸斗は、目を開けたまま平然と嘘をついている。

彩実が認めないと見るや、陸斗はあわててスーツの上着の前を整え、ツンと顎を持ち上げた。どこか「恵んでやる」みたいな口ぶりで言う。

「浅倉彩実。お前が今、浅倉家に戻って立場が変わったのは分かってる。だから昔のこと、認めたくないんだろ」

「でも責めない。若い頃に間違いの一つや二つ、誰にだってある」

「……正直...

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