第百四十二章 押しかけて挑発

ピートは平素、自分で煮詰めた低級ポーションを売って小銭を作り、その金で新しい薬材を買う――そんな自転車操業で、暮らしはいつも火の車だった。

酒が好きなくせに、スターリング・カレッジの学生が気まぐれに捨てる樽熟の赤なんて、一度も口にしたことがない。せいぜい酒場で一番安いモルトエールを一杯、喉に流し込んで我慢する程度だ。

それが今はどうだ。

ピートはラファエル荘園の羊毛張りのソファにだらしなく沈み込み、すでに空っぽになった酒瓶をまだ大事そうに抱えている。

浅倉彩実に向かって、しみじみと吐き出した。

「浅倉彩実、結局お前が帰ってきたから、俺もおこぼれに預かれてるんだよな」

「お前がいなか...

ログインして続きを読む