第212章 フラグメントを奪う

カテドラルの蝋燭の火が、ふっと明るくなったかと思えば、次の瞬間には弱まる。揺れる光に引き伸ばされた影が、アキンと輝先生の足元でやけに長く伸びていた。

二人は机上の羊皮紙の欠片を前に、声を落として確認を続けていた。――その背後で、かすかな空間の波が揺らいだ。

浅倉彩実は左手に、銀の紋様が流れる儀式用ナイフを握っている。刃先が蝋燭の灯を拾い、冷えた光をきらりと返した。

右手は花村秋人と指を絡めたまま。二人は、まるで光の裂け目を縫うようにして――音もなく、彼らの背後に現れた。

「誰だ!」

アキンの反応は稲妻のようだった。腰の短刃が「シュッ」と抜け、切っ先が真っ直ぐ侵入者へ向けられる。輝先...

ログインして続きを読む