第4章

とんでもない提案に、私は完全に呆然とした

翌朝、私は昨日の惨事を頭の中で繰り返し再生しながら、オフィスのロビーを歩いていた。プロに徹して、あんな馬鹿げたロマンチックな妄想は忘れよう、と自分に言い聞かせ続けた。

けれど、受付デスクに着いた瞬間、彼女の姿が目に入ってしまった。

美香が受付の女性と談笑していた。高価そうなベージュのデザイナーズスーツを身にまとっている。おそらく私の車より高いだろう。

こっそり通り過ぎてエレベーターに直行しようとしたけれど、彼女の声がロビーに響き渡った。

「美咲!」

私はその場で凍りつき、振り返らざるを得なかった。美香は完璧な笑みを顔に貼り付...

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