第126章

叔父の背中が見えなくなるまで見送り、彼女は小さく溜息をつくと、踵を返して階段を上った。

家に帰り着き、靴を脱ぐ間もなく、バッグの中のスマートフォンが震え出した。

綾瀬茉莉は画面を確認し、即座に拒否ボタンを押す。

綾瀬空からだ。

だが、スマートフォンは諦めることなく、再びけたたましい着信音を鳴らし始めた。

綾瀬茉莉は苛立ちを覚えながらも、観念して通話ボタンをスライドさせた。

瞬間、堤防が決壊したかのような、綾瀬空の金切り声と罵声が鼓膜を殴りつけてきた。静かな部屋に反響するほどの大音量だ。

「綾瀬茉莉! あんたって女は、どこまで疫病神なのよ! 夜、お父さんに何を吹き込んだの!? 一...

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