第十五章

周囲からの悲鳴が鼓膜を震わせた瞬間、綾瀬茉莉はまるで背中に目がついているかのように身を翻した。

ボールは彼女の残像を切り裂き、背後の樹木に当たって鈍い音を立てた。

彼女が振り返ったその瞳には、激情の炎が燃え盛っていた。

足元に転がっていたゴルフクラブを拾い上げると、流麗なフォームで振りかぶり——渾身のフルスイングを見舞う。

狙いは正確無比、弦巻時雨の膝の皿だ。

「ぐああっ!」

弦巻時雨は無様な悲鳴を上げ、膝を押さえてその場に崩れ落ちた。

生まれてこの方、彼に対して手を上げる人間など一人もいなかった。

彼は脂汗を滲ませて顔を上げ、信じられないものを見る目で綾瀬茉莉を睨みつけた。...

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