第161章

「レストランの薔薇は、店側の演出だ。ただの偶然で、数には入らない」

 花火が消え去った後の静寂に包まれた川辺に、霧生澪の声が格別に澄んで響く。その一言一句には、かつてないほどの鄭重さと力が込められ、綾瀬茉莉の心臓を強く叩いた。

「告白するなら、俺自身の手で、もっと正式に伝えるべきだからな」

 彼は一歩踏み出し、ただでさえ一メートルもなかった二人の距離をさらに縮めた。その深邃な双眸は、夜色の中で驚くほど鮮やかに輝いている。

 彼は、唯一無二の薔薇が収められた箱を掲げ、一言一句、明晰かつ断固とした口調で告げた。

「綾瀬茉莉、好きだ」

「責任感からでも、一時的な気まぐれでもない」

「...

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