第170章

その場にいた全員が、目の前の信じがたい光景に息を呑んだ。

霧生澪は、そんな綾瀬茉莉の姿を見つめた。その瞳には一瞬、大きな驚きが走ったが、それはすぐさま海のように深い称賛と納得の色へと変わっていった。

彼の茉莉は、決して他人の庇護を待ち続けるだけの温室の花ではないのだ。

彼は即座に自分のスーツジャケットを脱ぐと、大股で歩み寄り、綾瀬茉莉の露わになった肩に羽織らせた。探るような周囲の視線を遮断するように、彼女の体をしっかりと包み込む。

「あなた……」

小泉梨花はまるで幽霊でも見たかのように、震える指で綾瀬茉莉を指差した。

「どうやって出てきたの!? 服は……」

綾瀬茉莉は清冷な瞳を...

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