第185章

恋い焦がれていたその顔を見た瞬間、綾瀬茉莉の瞳から涙が止めどなく溢れ出した。

心の中を占めていた巨大な恐怖が、不思議と少しだけ和らいでいく。

彼が来た! 本当に来てくれたのだ!

紙のように蒼白な顔色、手首に巻かれた血の滲むガーゼ、そして死をも覚悟した決絶たる彼女の姿を目にした瞬間——。

霧生澪の瞳の奥に、世界を焼き尽くすほどの暴虐な嵐が吹き荒れた。

彼は一切の躊躇なく、弾かれたように彼女のもとへ駆け出そうとした。

「動くな!」

神山律の反応は極めて早かった。霧生澪がドアを破って突入した瞬間、驚愕はすぐさま極限の獰猛さへと変わった。

彼は泣き叫ぶ静葉を粗暴に自身の背後へ引っ張る...

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