第129章 腹に詩書あれば気おのずから華やぐ

 赤い表紙の証書が、彼女の手元からすっと取り出された。

 表紙には「資格証書」の大きな文字が中英併記で印字されている。――上級茶芸師、そのほかに何があるというのか。

「これでいい? もっと近くで見たいなら、寄せるけど」

 桜井雨音はまぶたを持ち上げ、淡々と瀬戸美月を見た。

 瀬戸美月は信じられないという顔で目を見開く。うそ……本当に、持ってるの?!

 事実を突きつけられても、素直に認める気はないらしい。彼女は唇を引き結び、強引に言い張った。

「証書なんて、偽造もできるでしょ」

 桜井雨音は笑った。

「国が出す資格証には、全部、固有の番号が付いてる。公式サイトで照会すれば、すぐ...

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