第133章 裸になっても君を一瞥もしない

 湯を止め、バスローブを羽織る。黒い影がドアに張りつきそうになった、その刹那――神崎康臣は素早くノブをひねり、勢いよく開け放った。

 そこにいたのは、忍び込んできた瀬戸美月。

 正面衝突だった。

「誰の許可で入った?」

 男の瞳に、噴き上がるような怒りが渦巻く。

「言ったよな。この部屋には入るなって。日本語が分からないのか? どこにそんな度胸がある」

 冷えきった気配を浴びて、瀬戸美月は手足の血の気が引いた。

「わ、私は……目を覚ます――」

「何を考えてるかぐらい分かる」

 神崎康臣は唇を吊り上げる。その声は、容赦なく人を切り刻む刃だった。

「数回寝た程度で、自分が特別だ...

ログインして続きを読む