第183章 その値段の価値はない

 神崎康臣は恵まれた家に生まれた。だが、今の地位は甘やかされて転がり込んだものじゃない。自分の足で一歩ずつ積み上げてきた結果だ。

 瀬戸利加や瀬戸優矢みたいな連中は、これまで何人見てきたことか。

 口では正義を振りかざすくせに、本音は値段交渉で少しでも多く引き出したいだけ。

 案の定――。

 瀬戸利加は目をくるりと動かし、にたりと笑った。

「そこまで話が早いなら、こっちも回りくどいことは言わないわ。あなたがうちの娘に与えた傷は、もう出来上がってる。償いも補償も当然でしょう。こっちが欲しいのは多くない。このくらいよ」

 片手を突き出す。

 康臣が眉を上げた瞬間、女は畳みかけた。

...

ログインして続きを読む