第188章 死人のような仏頂面

食事を終えると、篠原美羽は一本の電話で呼び出され、桜井雨音は両親を連れて帰路についた。

 丸一日歩き回ってさすがに疲れているはずなのに、桜井晋太郎はスマホの写真をめくりながら、まだ子どもみたいに浮き立っている。

「……だからさ、この金胎七宝のカップ&ソーサーがさ……それから、この銀に珊瑚をはめた首飾りも……」

 声が、階段の踊り場いっぱいに響く。

 桜井敏恵は、夫のそんな無邪気さが珍しくて、つい口元をゆるめた。

 雨音は終始、聞き上手な娘を演じる。返事が必要なところだけ、「うん」「そうなんだ」と相槌を打つ程度。

 笑いながら七階まで上がり、雨音が鍵を取り出してドアを開けようとした...

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