第39章 引っ越し

「柊……ほんとに、私が悪かった。もう怒らないで?」

保坂心月はぱちぱちと瞬きをして立花柊を見上げ、手を伸ばして彼女の腕をつかもうとした。

「怒ってないよ。だって、もう私たちに関係なんてないから」

柊はその手をさらりと払いのける。心月の言い分が、滑稽にしか聞こえなかった。

苛立ちを隠しきれない声で言う。

「何度も言ったよね。これからは他人。連絡もしてこないで。昔のことも、今さら説明する気ない」

自分には自分の生活がある。

こんなことで足を取られている暇はない。

最初から知らなかったことにする。

それが心月に残す最後の面子であり、二十年以上の情を自分の中で終わらせるための句点だ...

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