第42章 居候

木下さんがふと顔を上げた、そのときだった。

彼女は目が利く。鏡越しに、保坂心月がこそこそと何かをしているのを一瞬で見抜いた。

眉をきゅっと寄せ、手にしていた衣類を置く。

そして迷いなく、保坂心月の正面まで歩み寄った。

「保坂様。瀬戸さんが先ほどおっしゃったこと、あなたも聞いていましたよね」

木下さんは硬い声で言う。

「お持ち込みになったお荷物以外は、すべてこちらに置いていっていただきます」

「木下さん、何を言ってるの」

保坂心月は顔を赤くして、焦って言い返した。

「これは私が自分のお金で買った――」

だが語尾が弱い。胸の内の後ろめたさが、声に滲んでいた。

「保坂様、冗談...

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