第6章
その後も二十分ほど、そんな会話が続いた。亮は直樹の将来性や人生の目標、家族を養う能力について、ますます踏み込んだ質問を浴びせていく。私たちがその場を離れる頃には、直樹はまるで裁判にでもかけられたかのような顔をしていた。
「ずいぶん、あからさまだったわね」歩きながら、私は亮に言った。
「お前のことを心配してるだけだ。直樹はいい奴そうだけど、ちょっと……無難すぎないか?お前には知的な刺激をくれる相手が必要だ」
「無難なのが悪いってわけじゃないでしょ」
「退屈なのが悪いわけでもない。だからって、退屈と付き合うべきだってことにはならないだろ」
二時間後、私が図書館で勉強しようとしている...
ログインして続きを読む
チャプター
1. 第1章
2. 第2章
3. 第3章
4. 第4章
5. 第5章
6. 第6章
7. 第7章
8. 第8章
9. 第9章
10. 第10章
縮小
拡大
