第7章
プロムの夜は思ったよりも早くやってきて、気づけば私たちの部屋は、まるでハリケーンに襲われた化粧品店みたいに散らかり放題だった。
「玲奈、私のコテどこ?」結衣がバスルームから叫ぶ。髪はまだ半分しかできておらず、その声には焦りが滲んでいた。
「紗世のほうを探してみて」私は二色のリップスティックを前にどちらにしようか迷いながら、叫び返した。「昨日、彼女が借りてたから」
クローゼットから紗世が現れた。手には三足の靴を抱えている。「どっちがいいかな? 背は高く見えるけど絶対に足が死ぬ黒のヒールか、履き心地はいいけどちょっと地味なシルバーのやつか」
「黒」私と結衣の声が同時に重なった。
「...
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3. 第3章
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