第23章 誰が買っても損をする

鈴木悦子は佐藤深の変化に気づき、心の中に不安が広がった。

武内夕子は佐藤深と鈴木悦子を無視して、小声で平村雄に話しかけた。「私が提供した出品物、いつオークションにかかるのかしら」

彼女はその品がどれくらいの値段で落札されるのか、興味津々だった。

「まだまだ先だよ。青木先生の新作が市場に出回っていないから、その絵はきっと目玉になるだろう」平村雄は答えた。

そして、少し困ったように首を振りながら言った。「青木先生の絵を寄付しちゃって、本当に大丈夫?」

「彼は私の師匠だよ。まさか怒るわけないでしょ?」武内夕子は気にしない様子で口を尖らせた。「それに、その絵は私にくれたものだから、私がどう...

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