第032章 どこを触っているの!

「だ…大丈夫」

佐藤深は非常に苦しそうに答えた。彼は周囲の闇に飲み込まれそうな感覚に襲われ、武内夕子が握っている手だけが唯一の救いのように感じていた。

「私のスマホ、電池切れちゃったんだけど、あなたのスマホはどこ?」彼女は佐藤深を支えながら尋ねた。

武内夕子は佐藤深の震えがだんだんひどくなっているのを感じた。このままでは、彼がエレベーターの中で気を失ってしまうかもしれない。

「言わないなら、私が勝手に取るわよ」そう言うと、彼女は手を伸ばして佐藤深の身体を探り始めた。

彼女は別に下心があったわけではなく、ただ管理会社に電話するためにスマホを早く見つけたかっただけだった。し...

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