第146章 簡単に見逃すことはできない

何があったのかは分からないが、もしかしたら何か用事でもできたのかもしれない、と浅見紗雪は思った。

なにしろ風間朔也は風間グループ全体を管理しているのだ。

だから、彼女もあまり気に留めなかった。

朝食後、子供たちを幼稚園に送り、自身は会社へと向かった。

オフィスに入るや否や、アナが駆け寄ってきて報告する。

「先生に不利なネガティブニュースが、また浮上してきている兆候があります」

「どういうこと?」

浅見紗雪は尋ねた。

アナは早口で説明する。「榊原グループから派遣された医療チームが向かったのですが、相手側が診察を拒否し、昨夜からずっと膠着状態が続いています。

相...

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