第176章 人を誘惑するのが得意

紗雪は彼がそんなことを言うとは思いもよらず、呆然としていた。反応する間もなく、朔也の両手は力なく垂れ下がり、再び意識を失っていた。

紗雪は目の前の光景に、完全に呆気に取られてしまった。

この男を叩き起こしてやりたい衝動に駆られる!

意識が朦朧としているくせに人の弱みにつけ込んで、事を終えたら目を閉じて眠ってしまうなんて、だからクズ男だって言われるのよ!!!

少し離れた場所で、物音に目を覚ました雫が階段の入り口に立ち、感心したような顔をしていた。

朔也というクズ男、本当に手練手管に長けている……。

一方、お湯を運んできた蒼は、興奮した面持ちだった。

どうやら、哀れを誘う作戦は効果...

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