第183章 彼女と結婚したい

紗雪は一瞬呆然とし、我に返る間もなく、朔也はすでに踵を返して立ち去っていた。

しかも、堂々と彼女の目の前で、部屋から直接出ていったのだ。

階下へ向かう途中、ちょうど上がってきた絃羽と鉢合わせになった。

絃羽は彼を見ても特に驚いた様子はなく、かえって眉を上げ、後ろにいる紗雪に視線を向けた。

紗雪はまだその場で朔也の言葉を反芻しており、彼女には気づいていない。

朔也は絃羽を一瞥すると、凛とした様子で彼女とすれ違っていった。

その瞬間、絃羽はふと理解した。なぜこの男が、紗雪ちゃんにこれほど深い印象を残したのかを。

卓越した容姿に加え、その身に纏う気品と魅力。この男は、榊原家の三兄弟に...

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