第202章 心が弱い

紗雪は鍼治療に集中していて周囲の視線には全く気づいていなかった。

十分ほどかけて、ようやく佐藤さんの鍼治療を終え、立ち上がった時には体に薄っすらと汗が滲んでいた。

瞬がすぐにハンカチを手に、妹の汗を拭いに来た。

「ありがとう……」

『お兄ちゃん』という言葉を口にする前に、紗雪は突然後ろに冷たいものを感じた。危険な視線が自分に向けられている。

紗雪は無意識に朔也の方を見た。

朔也の眼差しは熱っぽく、そして重々しい。

紗雪は瞬間、後ろめたいような感覚に陥ってしまった。

あり得ないでしょ!

心の中でそうツッコミを入れ、慌てて自分でハンカチを受け取ると言った。「自分でやるから大丈夫...

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