第300章 彼女は俺のもの

この人は今、K市にいるはずなのに。

紗雪は驚きのあまり、呆然として立ち尽くしてしまった。小さな口を半開きにしたまま、しばらくして、ようやく掠れた声で問いかける。

「どうして……」

言葉は最後まで続かず、朔也に遮られた。

男の顔色も口調も、同じように険しい。

彼は眉を顰め、紗雪の頭をじっと見つめて尋ねた。

「怪我をしたのか? 頭はどうした? 他に傷ついたところは?」

そう言って、紗雪の体をくるりと一回転させ、様子を確かめた。

紗雪はまだ我に返れないでいた。

彼女が何も言わないのを見て、朔也はますます心配になる。

「どこを怪我したんだ? 答えろ」

蒼は主である風間様が気が狂...

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