第369章 彼女だけにはどうしようもない

 運転手と蒼はその場で立ち尽くし、顔を見合わせた。

 運転手はやや途方に暮れた様子で蒼に尋ねる。

「社長……何か問題でも起きるのでしょうか」

 先ほどのあの表情は、あまりにも恐ろしかった。

 蒼もまた少しばかり不安だった。

 風間様は道中ずっと怒りを抑え、到着したところで景が紗雪に優しく微笑みかけ、二人が名残惜しそうに別れる場面を目撃してしまったのだ。今頃は嫉妬でどうにかなってしまっているだろう。

 長年、風間様にお仕えしてきた彼でさえ、これから何が起こるか確信が持てなかった。

 彼は急いで、少し離れた場所にいるボディーガードに手招きした。

 車が来ると、すぐに運転手に風間様...

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