第64章 何とかして、妻をなだめる

紗雪はその言葉を聞いて、思わず眉をひそめた。

腹立たしいのは確かだが、彼女とてこの男が自分に下心があると思うほど自惚れてはいない。

だが記憶が確かなら、紗雪として彼と会った時は、あまり良い思い出がなかった。

特にこの男は自分に因縁をつけようとする態度で、ありもしない『夫と子を捨てた』という罪まで着せてきたのだ。

下心がないにしても、少なくとも良からぬ企みがあるのは間違いない……。

紗雪はどう考えても安心できなかった。

しかし、今の自分に何ができるというのか?

本当にこのまま違約金を支払わなければならないのだろうか?

三十億?

とんでもない吹っかけようだ!

そもそも、このク...

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